17.8兆円

ここにあるように,倭國の研究費は他國と比べて特に
少なすぎるわけではない,と最近まで当方は思っていた.
このような統計を見るときは若干用心したほうがよいか
もしれない.以前,退役役人が勤務先に来て研究費の取
り方について講演をしたとき,そのようなことを言って
いた(2006年頃の日記に記述したかもしれない).その彼
が言うには,文部省の統計にも,"研究費はこんなに増加
しています!"というのがあるが,その折れ線ががくんと
伸びているところがあって,その急増分は,研究費の定義
を緩くして,以前は研究費として計上していなかった項目
も含めたせいです,とのことであった.これは役人統計魔
術の1つであり,數値だからといって鵜呑みにせず,それ
らの定義に用心せねばならない.


この統計や,その他を見ると,この研究費の定義
は末端の研究者が想像する研究費とはかなり乖離してい
る.なぜならば,この17.8兆円には,人件費(教員やら大
學事務吏員給料)や,校舎を建造する費用まで含まれてい
るためである.果たして,他國の數値も同じ項目が含まれ
ているのか?いくら英吉利の大學教員の給料が低いと言っ
ても,総額で倭國の1/5程度の金で人件費その他全てが賄
われるとは到底思えないのだが...この点は調べてみる必
要がある.


OEDCによる研究費の定義と内訳は以下の通り.
Definition:
Research and development expenditure is the money spent on
creative work undertaken on a systematic basis to increase
the stock of knowledge and the use of this knowledge to devise
new applications.

Context:
Expenditure on Research and Development (R&D) refers to all
expenditure on research performed at universities and at
other institutions of tertiary education, regardless of
whether the research is funded from general institutional
funds or through separate grants or contracts from public
or private sponsors. This includes all research institutes
and experimental stations operating under the direct control
of, or administered by, or associated with, higher education
institutions.

一方,上述の頁における倭國の定義は
>総務省統計局「科学技術研究調査」では、「研究」を「事物・
>機能・現象などについて新しい知識を得るために、又は、既存の
>知識の新しい活用の道を開くために行われる創造的な努力及び探
>求をいう」と定義しており、この活動に係るすべての支出(人件費、
>原材料費、有形固定資産購入費等)が研究費とされる。
>
で,OEDC定義に人件費が含まれているともいないとも判然としない.


しかし,少なくとも総務省統計の怪しい点は,大學教員の給与全てを
研究費としている点である.大學教員の給与には授業をしているため
に受け取る報酬と,研究をしているために受け取る報酬があるはずで,
それらを分離せずにひとまとめに研究費としているのは嵩上げとも読
める.

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喉が痛い症状は治まり,今度は華ダーダーである.
明日は朝から下総國大學ダー.

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